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ポップコーンをかきわけて

眠るちょっと前に、一瞬だけ
とてつもない快感が
押し寄せてくることがある。
 
景色が一変するような
錯覚に囚われる。
 
窓の外の風景はきらきら輝いて
冷たい風が吹く草原の丘が
広がっていたり、
切り立った崖上の海岸が見えて
カモメの声や、
人々の楽しそうな叫び声が聞こえる。
 
ああ、懐かしいな。
この感じはとてもいいな。
幸福だな、という感覚に満たされる。
 

 
でも、起き上がってしまうと
まったく忘れてしまう。
あれはなんだったっけと。
残りの澱が沈んでいるだけで、
はっきりとしたイメージが思い出せない。
 
あれはなんなんだろう。
どうして普段は想像も及ばないような
素敵なイメージが唐突に現れるのだろう。
 
脳内がとろけるか、あるいは
特殊な溶剤が分泌されて神経系が
ぐにゃぐにゃになるのか。
とにかく尋常ではありえないなにかの
作用が起きているに違いない。
 
もし、そういう感覚が
覚醒している日常で起きたら、
どうなるだろう。
 
まわりにいる人を間違えて
好きになっちゃたり、
ぎゅっと抱きしめて歩き回って
しまうかもしれないな。
 
ああ、それは危険だ。
一歩誤れば警察沙汰だもの。
 
それはやっぱり幻覚だ、と
分かっている必要がある。
 
分かった上で、
具体的な形として眺めていたい、
という気持ちが湧いてくる。
 
映画でいうと、あれかな、
「ビッグフィッシュ」。
スペクターという村の夜祭りや
サーカスで時間が止まってしまうシーン
なんか、夢の快感にとても近い。
 
ああいうふうに、
ぼんやりとしたものではなくて、
具体的に形として差し出されると
もうノックアウト。
 
エドワード・ブルームがサンドラを
初めて見つけた時、
時間の止まったサーカス場を
一直線に歩いて行く、
あの空中に舞ったままのポップコーンを
かきわけていくシーン。
…涙が出てきます。
 

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