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今回の実験「あたらしいロゴをかおもじサインにしてみました」

ファンタジーの中のリアリティ

絵を描こうと思うときに
途方もないなあと感じるのは
設定と構造について。
 
たとえば、
サーカスを舞台にした絵本を
描くとき。
 
それがどんな大きさのテントか、
どんな形状なのか、収容人数は、
舞台と客席の距離感はどのくらいか、
柱はどこと、どこに建っているか、
舞台裏や、客席にわたる通路は
どこに?
 
想像がおよばない。全く分からない。
そもそも、サーカステントの構造に
興味を持ったことがないし。
当然のことと言えば当然。
 
でも、描くなら知っておかねば。
 
…と、きっかけは上の通り。
どんなものであれ、理由があると、
調べものは俄然、楽しくなる。
 
サーカステントの構造に
今のところ興味がないあなたも、
「ファンタジーの中に
リアリティとして表現を落とし込む」
という文脈で、どうか読んでおくれ。
とお願いしたい。
 

 
そもそも、テントって
建築用語でいうと「膜構造」と
呼ばれていて、
大きく分けて3つのタイプがある。
 
1、骨組み膜構造
2、空気膜構造
3、サスペンション膜構造
 
自分が、ぼんやりでも
イメージしていたのは、どれだ?
 
1は、キャンプのテントみたいに、
骨組みの上に服を着る具合に
布が被さっているやつ。
シルクドソレイユみたいな、
大型のサーカステントは、
これなんじゃないか。
 
2は、東京ドームみたいに、
中の空気圧を高くしてふくらませるやつ。
骨はなし。
 
3は、柱を軸にして、布を吊って、
ピーンと張るというタイプ。
昔ながらの中型サーカステントはこういうの。
描きたいのは、これだった。
 

 
ちなみに、サーカステントを建てるには、
日本なら建築基準法に法り、
「仮説許可申請」を提出する必要があるらしい。
 
つまり丈夫で、防火素材なども使っていて、
簡単には壊れたり燃えたりしません、
という信頼が必要だ。
 
もう少し具体的に考えると…、
耐火規定(耐火素材の柱、布を使用し
近くには消防用のホース車待機させます)
用途地域(一定の広さの公園を選びます)
居室の採光(布は遮光性ありなので
照明にて一定の明るさは担保)
換気・排煙(メットライフドーム
(旧西武ドーム)
方式で、
換気の隙間あり)
 

 
「ことばサーカス」の物語上、
テントの中で打ち上げ花火をあげたり、
巨大お化けが、テントを突き破る、
というくだり(サーカスの演出として)
があるので、
役所に申請を出すときも、
打ち上げ花火のことや、天井の布を
突き破る内容も、事前に
打ち合わせておかなければ
ならないはずだよな。
 
お客さんからクレームが入って、
初日で「公演中止」になったら、事だ。
 
大赤字にも、ほどがある。
 

 
まず、打ち上げ花火。
調べると、最も小さいものでも
30メートルの高さまで打ち上がる。
さらにそこから、
直径50メートルの球状が花開く。。
 
これをテント内で打ち上げるなんて
絶対無理じゃない。。?
お客さんに当たったらやけどするし。
 
まあ、熱対策としては低温花火を
使うとして、
あとは、テントの内部の高さは
10階建てのビル相当は必要だ。
 
なるほど。そこは考慮しましょう。
外観規模としては、このくらい
 
客席は大体300人くらい。
 
間近で花火の爆発を見るなんて
どうかしている。
見え方ももしかしたら、
河原で見るのとは違うかもしれない。
 
全体で花開いていつつ、もっと近くの
現象も目に入ってくる。
 
ちいさな星のような、じりじり飛び回る
火の玉のような、
きれいな小型花火虫みたいなのが
ピョンピョンはねて、
お客さんの目の前で踊っている。
というイメージで絵を描きたい。
 
とにかく「目の前」での花火が
危ないものとしてではなく、
あくまで、美しく、妖しく、
楽しいものとして魅せたい。
 

 
バケツと、オケがまざってできた
「けつおばけ」がテントを
破る演出に関しては、
着物の胸元のすそのような構造を
とる。
 
一見閉じられているようだけど、
二枚の布が重なっているだけで、
そこからするするっと、出たり
入ったりできる構造になっている。
 
これなら、テントに必要以上の負荷が
かからないで「ハプニング感」が
演出できるのではないか?
 

 
こういうふうに、リアリティを
求めていくと、どんどん妄想が膨らむし
絵を描くとっかかりにもなるし、
なによりぼく自身が、たのしくなる。
 
構造の分からないものを、
分からないまま、描こうとすることほど
苦痛なものはない。
 

 
それも、これも、
小学館から出ている
映像研には手を出すな!」に
影響を受けたんだけど、
こちらも熱が上がったので、
ちょっと自分でも、
というつもりで書いてみた。
 
世界観の妄想は、細かい設定によって
膨らむものだと実感できた。
 

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