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今回の実験「あたらしいロゴをかおもじサインにしてみました」

クモの職場

最近、住んでるアパートの外階段に
でっかいクモがいる。
 
握りこぶしくらいのでっかいやつ。
最初にみつけたのは夜。
暗がりの空中に黒い影があって、
よく見たら、クモ。しかもでかい。
一瞬背筋が凍る。
 
でも、動いてないし、
ある程度距離があるとわかると
これは、いたずらしてやろうと思って、
足元に落ちていた、ちいさい葉っぱを巣の網に
投げ込んでみた。
 
すると、まるで、つもっていたほこりを
ぱらぱら落として蘇るミイラのように
ちぢめていた脚をゆっくりひろげて、
さっそうとかかった葉っぱのところへうごく。
 
気味が悪くてぞっとするが、ぞっとするだけ
反対にじっと見ていたくなる。
 
クモは、かかったものが獲物じゃないとわかると、
やれやれみたいな感じでくるくる糸をほどいて
ぽいっと葉っぱごと落とす。
 
そして、定位置に戻っていく。
とても器用である。
 
棒で退治しようかと思ったが、無害そうなのでやめた。
 
翌朝、ごみを捨てに外に出てみると、
クモはいなくなっていた。
 
でっかい巣には、セミの羽らしきもの、小さい羽虫が
風にゆれている。どこにいったんだろう。
 

 
うちのアパートは日が暮れると、ランプがつく。
おしゃれな傘がついていて、おもむきがある。
 
朝まで点いているので、夜中の間は
家の中まで、ぼんやりと電球色が入ってくる。
 
電気が灯る時間になって、
お茶を買いに外に出てみると、
やや、いるではないか、クモ。
 
思えば羽虫は光に集まってくる。
だから、夜にはいろんな小さい虫が集まる。
そうか、クモには夜が書き入れ時なのか。
 
せっせと巣を修繕しているのか、かかった虫を
捕まえているのか、働いている。
 
そして、翌朝、見るとまたいない。
 
クモの巣って、字のごときクモの住んでいる家だと
思っていたが、あれはクモの職場なのだ。
 
それ以後、見るたびに、ご苦労様です
と、声に出さない挨拶をかける。

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