ことばの実験室 更新2019/7/15

はい、わらわせてー

電車に乗っていると、
たまにスマホを片手にひとりで
にやけている人をみる。

ぼくはそんな人に、寛容である。
なぜなら、自分も同じ体験を
しているから。

理由はくだらない。
ふと、つまらない冗談を思い出して、
または、
冗談を繰り出すyoutubeをみて。

頬のあたりに、
にやけのさざ波がたち、
突如、顔の内側が噴火しそうな
感じがこみあげてくる。

こんなとき、笑うのを
止めたいと思うけれど、
なかなか抑えるのが難しい。

だけど、一方で、
カメラを向けられたとき、
「はい、わらってー」と言われると、
まったく笑えない。

笑えない気持ちの時に
笑顔を作ろうとすると、
不自然になる。

これって、
なんでだろうと思っていたが、
その秘密は「脳のなかの幽霊」の
中に書いてあった。

ものすごく簡単にいえば
「笑おう」という意志は、
脳の運動中枢によって実現される。

だけど、つい笑っちゃうときの
自然な笑顔は、
大脳基底核によって作られる。

要するに、作られる場所がちがう。

天然の笑顔は「基底核」で、
「運動中枢」は、笑顔の素人。
というわけなのだそうな。


(以下引用)

「ほほえみ」は簡単そうに見えるが
実は何十もの小さな筋肉がこまかな
協調をしている。
(自然なほほえみを生み出すことに
特化していない)運動中枢にしてみれば
一度も練習してことがない
ラフマニノフを演奏することに
匹敵するほど複雑な芸当なので、
無残な失敗をする。」

と、いうわけである。
カメラを向けられて、
自然な笑顔を作れないあなた…、
大丈夫です。

それは、あなたのせいじゃありません。
「はい、わらってー」という人に
言ってやりましょう。

それは、わざわざ
ぼくの「運動中枢」の代理人である
「言語中枢」に言うんじゃなくて、
直接「大脳基底核」に
伝えてくれと。

もっと簡単に言いかえるなら、
「はい、わらって」と言われたら、
「はい、わらわせて」と言い返して
やりましょう。

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