ことばのロボットいろはちゃん 更新2020/8/5

ことばの薬局

最近は、どこで本を得るかというと、
もっぱら図書館。

よほどの新刊以外は、
たいていどの本も蔵書されているので、
ほんとうに便利。

そんなわけで、本屋離れしていましたが、
数店舗の古本屋さんが集まって
出店している特設会場とやらが
近所にできたというので行ってみました。

行ってすぐ分かるのは、
あ、これはいい出会いの場だなと。

いくつもおもしろそうな、
濃い本がたくさんならんでいてワクワク。

あとで調べてみると
図書館にも蔵書がある本だったりするけど
保存庫に入っているのも少なくないから、
その本の存在を知っていないと
絶対に見つけられない、という本や、
そもそも図書館にないような
レアな本もときどきある。

そういう珍しい本が手の届くところに
ならんでいる。
好きなのがあれば、お持ち帰りもできる。

古本屋は本の出会い系だと思う。
500円くらいなら入場料とっていいのに。

ぼくはそこで、
ケストナー博士の叙情詩家庭薬局
(かど創房)
という本を見つけました。

医学書のような佇まいなので、
ケストナーって、あの児童文学で有名な
ドイツの作家ケストナーのことか?
と思って見てみると、本当にそうで。

一時期ケストナーは片っ端から読む
というくらいはまっていたので、
そして大人向けの詩集も出している
という情報だけは知っていたので、
まさかこんなところで
出会えるとは、と感動。

心の処方箋としての詩なのだそうです。
1936年のチェコで出版された本。
当時ドイツではナチス政権下。
政府に好まれない本は焼かれ、
出版もできない。

なら、外国で本を出そうと。
ドイツにも外貨獲得になるので、
チェコで出版するならよし、
ということになったみたいです。

この本には、薬と同じで
処方用途があります、

…が、ぼくは、まずこの本を
ぱーっとめくって目にとまるとこだけ
軽くつまみ読みしてみました。

なんだかとりとめがなく、
おもしろそうな感じはするが、
よく分からないな、と。

最後までめくっていくと、
この本の「もくじ」はなぜか
さいごのページに追いやられている。

あれ、と思って、最初から
丁寧にめくっていくと、
ケストナーお決まりの序文が。

(ケストナーと言えば序文の名手。
本によっては、本編が始まるまで
40ページ以上も膨大な序文があって、
本に入る前のぼくらを
ていねいにおもてなししてくれます。)

「レッテルの貼っていない薬びんは、
薬びんのないレッテルと同様に役に立ちません。
家庭薬局の内容がどんなに豊富でも
使用法とレッテルが貼ってなければ、
なんの意味があるでしょう?
全然意味がありません!家庭薬局は
毒薬の戸だなになるでしょう。」

「そういうことを考慮して
私は見出し語の索引をこしらえました。
それは序文の次にのっています。」

そうか、最初に使用法も見ないで
読んではいけなかったのだ、と反省して、
ページをめくると、もくじのような体裁で、
「使用法」というページがありました。

…続きはあした書きますが、
同じ内容でも、貼るレッテルによって
効能が変わるというのも
言葉のふしぎの一つだよな、と思って
感心してしまいました。

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