ことばの実験室 更新2019/7/15

おいしい読み応え

おかべりか「よい子への道」シリーズが、
おもしろくて、
おだんごちゃん」「トイレのてんしちゃん
おばけやさん」シリーズなどを
見てみた。

今まで分からなかった
佐藤雅彦氏の言う「トーン」について、
こういうことなのかな、
と実感がわいてきた。

自分で本を作っているときは、
これってなんで作ってるんだっけ?
ということを忘れないように、
言語化しようとする。

それが、あんまりいい言い方では
ないけれど、
コンセプトとか、メッセージみたいな
ものとして、意識しておく。

でもね、
おかべさんの本を読んでいると、
「そんなことじゃないんだよね」
と軽妙に諭される気がしてくる。

大体の向上心のある人は、
みんな、深刻さや、まじめさ、
に向かおうとする。

本気でなければならない、と。
みんながみんな、シリアスがいい。
という雰囲気が、ぼくは苦手。

ぼく自身、
そうなる瞬間はあっても、
それが、かっこいいとは思えないし
そういう深刻さは、
案外なにも生み出さない。

このおかべりかさんという人は、
大人になってからも、
小学生の心を健全に保っている
という稀有な存在。

大人が、大人っぽいふざけ方、
コミュ力の中で発生する
にせ子ども心、ではなく、
真の小学生、という感じ。

身にまとっているゆるさ、
ときどき個人の妄想が過ぎる
ばかっぽさの肯定感が
いい空気となって本から
にじみ出てくる。

意図じゃないし、
メッセージでもなくて、
居心地をつくっている、
というのがいい。

子どものおかべさんと、
絵が上手で、大人なおかべさん
が共作しているかんじ。

具体的に引用してみよう。

「これが真相だ!」
1、かいじゅうのリュックのなかみ

かいじゅうは大あばれするので、
にもつはもちやすいように
ちいさくまとめてあります。

このかいじゅうはリュックを
かたにかけないで
せなかのとげにひっかけています。
もちかたをくふうして
いるんですね。

こんな感じで、妄想が
どんどん細部にまでわたっていく。

リュックのなかみ
「こぜに…スーパーマーケットで
スポーツドリンクをかったときの
おつりです。はかいかつどうは
つかれるので、
とてものどがかわきます」

「はいしゃさんのしんさつけん
…おくばが2本、むしばです。
火をふいたあとに、
ちゃんとはみがきをしなかった
からですね。」

楽しい気分が、文章はもちろん、
絵の細部にも、
たっぷりとしみ込んでいる。

だから、読み応えが、
おかしを食べているときみたいに
おいしいなあ、と思える。

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